ソーシャルワーカーが活用する「ツール」の構成要素に関する研究
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概要
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日本における戦後の社会福祉制度の仕組みは、国民の生活に対するニーズの変化に伴い1990年の社会福祉基礎構造改革で大きく変化した。基礎構造改革の理念は、2000年施行の介護保険制度や2006年施行の障害者自立支援法によって具現化された。これらの制度を効果的に遂行するため、援助技術のひとつであるケアマネジメントが導入され、様々な「ツール」を用いなが利用者のニーズに沿った支援が行われた。「ツール」は、利用者の立場にたった社会福祉サービスの提供を促進するために用いられている。保険医療機関の中では、特に、看護の分野でクリティカルパスという「ツール」が、数多く開発され使用されている。わが国の社会福祉や医療の分野では、「インフォームド・コンセント」や「利用者主体」、「自己決定」などの視点の垂要性が指摘されている。しかし、福祉の分野や医療の分野で使用されている「ツール」の内容や「ツール」研究を概観してみてみると、「利用者主体」「自己決定」という項目が反映されているものは極めて少ない状況である。介護保険制度や障害者自立支援法などで利用されている「ツール」または、看護の領域で使用されている「ツール」は、支援する側が情報を収集することが目的であって、利用者の主体性や自己決定を保障するものではないと言っても過言ではないと考える。筆者は、2006年に行った研究において、ソーシャルワークの分野で使用されているフェイスシートやアセスメントシートなど「ツール」の分類と定義を行った。その中で、「ソーシャルワーク過程において効率的に利用者のニーズと社会資源を結びつけ、利用者の選択の行使や自己実現が行われえるための道具」開発の必要性を唱えた。本稿は、看護の分野において使用されているクリティカルパスを検討し、保健医療福祉分野における「ツール」の先行研究を吟味し、不足している点を明らかにし、ソーシャルワーク過程における「ツール」に必要な構成要素を明らかにすることを目的にすすめていくものである。
- 仙台白百合女子大学の論文
著者
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