保健医療機関におけるソーシャルワークの「ツール」に関する研究 : 利用者主体を根底に据えた「ツール」の開発の必要性
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概要
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1998年6月に中央社会審議会社会福祉構造改革分科会より出された「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」の中で、「利用者の選択」によるサービスの提供が謳われ、これまでの社会福祉の概念が大きく変化した。保健医療機関で働くソーシャルワーカーは、そのような状況の中で、利用者に対し、疾病に起因する生活課題、また心理的な課題を指導ではなく利用者自ら解決できるよう支援を行ってきた。その支援方法としては、面接という行為はもちろんのこと、その他にもアセスメントシートなどといったツールを活用し支援・相談活動を行ってきた。そのツールについては、多くの研究者が文献の中で紹介している。それらの研究で言われているツールの多くは、ソーシャルワーカーが利用者の情報を収集する目的であるとか、ソーシャルワーカーの存在を広報する、帰属する組織での情報交換やソーシャルワーカー自身の業務量を示すものであった。これは、支援者側のツールであって、利用者の人としてその意思や権利を保障するものではなかった。近年、社会構造が変化し、国民の、または支援を必要とする人のニーズも多様化してきている。そのような中、ソーシャルワーカーは、利用者自身によるサービスの選択権の行使、そして自己実現することを支援するためのソーシャルワークを展開していかなければならない。本稿では、ソーシャルワークにおけるツールを「ソーシャルワーク過程において効率的に利用者のニーズと社会資源を結びつけ、利用者の選択の行使や自己実現が容易に行われるための道具」と定義した。ソーシャルワークにおけるツールが、先行研究においてどのような位置づけのもと開発され、活用されているのかを検証し明らかにする。そのうえで、「利用者主体」「サービスの選択」「自己決定」を根底に据えた積極的な権利の行使が遂行できる「ツール」開発の必要性を論じるものである。
- 仙台白百合女子大学の論文
- 2007-01-31
著者
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