13世紀シエナ農村部における「ネオ・シニョリーア」 : その形成と拡大、都市による領域支配との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
13世紀後半以降に北中部イタリアの諸都市で見られた豪族対ポポロの対立は、かつて階級闘争として捉えられたが今はむしろ当時の支配層内部の争いとして理解され、党派争いにおける「排除と統合」のメカニズムの面でも注目されている。A.ジョルジは豪族とポポロ関係のシエナモデルを分析し、有名なフィレンツェモデルなどとの比較を通じて相対化した。また都市内部のみならず周辺農村領域における両者の関係にも着目し、「ネオ・シニョリーア」の形成と拡大の過程を動態観察的に辿ることによって、領域支配体制を整えつつある都市とその支配下の農村の関係を明らかにした。本稿ではこのシエナモデル、及び「ネオ・シニョリーア」の具体的な内容を紹介し、筆者自身のテーマである折半小作制との接合点を提示する。