漢方薬による頭頚部領域の疼痛治療
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概要
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西洋医学的には除痛しがたい疼痛症例にも漢方薬による治療が効果的であることを示す.漢方医学の「気・血・水」の概念,五行論に基づく臓腑の生理機能理論は西洋医学体系にはない病態理解と治療に直結するヒントを提供する.とくにストレス社会である現代において,「気」の概念は証候の背後に潜む心理的な要因を理解する上で非常に重要である.「気」は西洋医学的な「精神」の概念とは違い,その滞り(気滞)は末梢循環の停滞や浮腫などの身体症状を形成する因子と考えられている.西洋医学的見地からすると,気滞は交感神経の過緊張状態を生む一因と推察され,漢方的にその疏通,緩和を図ることが鎮痛を得る端緒となる.また,舌痛症のように心理的な因子が発症に深く関わることが多い疾患では,漢方医学による臓腑の機能との関連で症候を分析することができる.舌面の部位が臓腑と関連するという漢方的知見は西洋医学的には了解しがたい記述である.しかし,それに基づく治療的戦略はしばしば難治性の舌痛症を治癒に導くことができる.漢方は様々な疼痛治療に有用であるが,発達した検査機器による情報をも参考にして,より正確な弁証(漢方的診断)を求める姿勢が必要である.
- 2009-01-25
著者
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