マクロとミクロの条件下での最適なコーポレート・ガバナンスシステムの設計
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概要
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本論の目的は、マクロとミクロの経済条件下での最適なコーポレート・ガバナンスの設計について、John and Kedia (2003)に基づくエージェンシー理論のモデルを用いて検討することである。つまり投資家は、経済条件を考慮しながら、エージェンシー・コストを最小化させるためのガバナンスを設計することになる。ここで重要なことはモデルに組み込む経済条件として、マクロ的な要素のみならず、ミクロ的な要素もモデルに組み込んだことにある。分析の結果、マクロ的な要素である資本市場の発展度が閾点以下に低い場合には、インサイダーシステムのみが最適なガバナンスとして有効であることを確認した。次に、資本市場の発展度が閾点を越えて高くなると、インサイダーシステムとアウトサイダーシステムのいずれかが最適となる。それはミクロ的な要素である企業固有のパラメータである技術生産性に依存する。これは、米国や日本におけるIT産業の急成長時の新規公開企業数の増加や成熟産業に属している低成長企業のMBOによる非公開化戦略実施の増加などで示される現実の経済事象とも整合性がある。
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