2 高等教育に学ぶ視覚障害者とメディア利用(第1章 障害者の高等教育とメディア・アクセスの研究 インタビュー調査報告,障害者の高等教育とメディア・アクセスの研究)
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概要
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近年においては、視覚障害者に門戸を解放する大学の数が年々増加し、毎年40名から50名の視覚障害者が高等教育機関に進学してそれぞれの道で学問を修めている。点字使用者、普通の文字使用者共に、受験に際しての配慮は、点字出題や拡大文字出題、個室の用意、時間延長等、個々のニーズに応じてきめ細かくなされるようになってきている。こうした改善は、関係者の並々ならない努力によるものであることはいうまでもない。高等教育機関への入り口は、このように年々改善の方向にあるといえるが、一方、高等教育機関に入学して以後の視覚障害者の学習や日常生活はどのように営まれているのであろうか。障害のない者に互して大学生活を享受していくためには、様々な支援体制が必要となるが、こうした支援体制はうまく作動しているのであろうか。特に点字を常用して学習する学生にとっては、教科書や資料の点訳はいうに及ばず、学内での移動、掲示物の伝達、授業中の視覚的教材提示等に対する援助、期末試験、レポートの作成、日常生活の問題等、多くの解決すべきハードルが横たわっている。これらのハードルをクリアしていくために、在籍する大学等の学内体制、彼らをとりまくボランティアを含めた地域社会の支援体制、あるいは近年急速に進展してきたメディア活用の促進等様々な手段が取り入れられていると思われる。しかし、まだまだ抱えている問題、クリアできていない課題等も多いのではないかと思われる。こうした実態を調査して、彼らの高等教育機関での学生生活の様子を明らかにするとともに、問題点を整理することは、今後に続く視覚障害大学生に対する支援体制を検討する上で、貴重な資料を提供してくれるものと考えられる。こうした観点から今回、高等教育機関で学ぶ7名の視覚障害学生を対象とした面接調査を実施し、生の声を収録することとした。入学後の大学生活の実態やメディア活用の実態等については、大筋を表に示したが、以下においては、面接調査から浮かび上がった特筆すべき現状や課題について、若干のコメントを記してみたい。ただし、ここで面接調査の対象とした学生は、関東地区の幾つかの大学に在籍する者に限られているので、これをもって全国的な傾向とみなすことはできない点に留意していただきたい。
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