音楽の聴取という"枠組み"の中でのネガティブ感情
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概要
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芸術,エンターテイメント,スポーツといった多くの人間の文化においては,"現実の生活から切り離されたそれ自体特別の心理学的空間において",感情が生起する。この空間をApter(1984)は"枠組み"と呼んだ。本論は,音楽聴取下で生じる枠組み内での感情状態に焦点をあて,次のように論じた。1.枠組みは,実害が生じないという状況に対する認知によりもたらされると考えられる。認知が感情の生起にかかわる過程を説明する,認知的評価理論と,感情のネットワークモデルが,その裏づけとなる。2.音楽聴取においても,"呈示された楽曲を嫌いである"と認知する場合には不快感情が生起すると考えられる。3.感情誘導においては,現在のところは,"快か不快か"のみを音楽により生じる感情として扱うのが安全であると考えられる。具体的な感情の評定は対象音楽の感情的性格に対する評定との混同を招きやすいこと,枠組みにおいて生じるネガティブ感情は快をともなうネガティブ感情であり,現実の感情体験とは異なること,がその理由である。4.音楽の持つ枠組みは,感情誘導においては限界をもたらすが,メンタルヘルスの改善に貢献しうるはたらきを持つと考えられる。
著者
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