Elachista freyerella種群の日本からの1新種(クサモグリガ科)
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概要
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Elachista nipponicella Sugisima, sp. nov. (Figs 1-47) ニッポンクサモグリガ(新称) 前翅長♂2.6-3.5 mm,♀2.8-3.6mmで,非越冬世代は一回り小型らしい.頭部(Figs 2, 3)は淡黄褐色,稀に灰色;後頭部は鱗片先端が暗褐色なせいでまだら状.♂の前翅(Fig. 1)は灰色か灰褐色で,1/3に白色横帯,3/4強の前縁と後縁に向かい合った白色紋,翅頂付近に白色小斑が現れる(白色の模様はときに不明瞭);横帯のすぐ外側の折り目沿いに逆立った黒色鱗片塊:3/4強の紋の間に黒色の縞.♀の前翅(Figs 4, 5, 42)は暗灰色から黒色で,♂の場合よりやや基部寄りに明瞭な白色の模様を持つ:1/3の横帯より基部側が淡色なこともある.♂交尾器(Figs 6-14):uncus lobeは長さが幅の2倍;valva(把握器)は長さが幅の約4倍;juxta lobeは幅広で丸味を帯びる;phallus(挿入器)はvalvaとほぼ同長で,先端から1/5近辺で明瞭に屈曲し,それ以外の部分は緩やかに湾曲する:vesicaには微小棘群に囲まれた縦方向の硬化縞があるが,硬化の程度は軽微でcornutusと呼べるほどではない.♀交尾器(Figs 15-41):ostium(交尾口)覆面側の縁は深いU字ないしV字形に切れ込む;antrum-colliculum-complexは後方から1/4周辺で最も幅広く,後端近辺ではやや細まる;ostium腹面側の縁の形状やantrum内面の棘の範囲と密度は個体差が激しい.極東から知られる近似種からは,♂ではcornutusの有無を含めたohallusの形状によって,♀ではostium腹面側の縁の切れ込みの形状によって識別される.年2世代以上で,中期幼虫越冬らしい.寄主植物はイネ科のアオカモジグサ,ウシノケグサ,エノコログサおよび未同定のイネ科数種.蛹(Figs 43-47)の特徴はE. freyerella種群に典型的.♀交尾器の特徴にはかなり大きな変異が観察された.しかし,そうした変異が連続的であることと,♂交尾器や蛹形態には変異が見られないことから,今回検討した標本は個体変異の激しい単一種を表すと判断した.
- 2006-01-10
著者
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