セシウムビーム周波数標準器用円筒コリメータ使用リサイクル原子源のビーム指向性と効率
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近畿大学で従来型のセシウムビーム一次周波数標準器の確度を一桁近く改善する基礎技術確立を目指して、「垂直型セシウムビーム周波数標準実験器」を開発している。1994年以来、真空予備排気、静磁場の特性測定、4極電気磁石の製作及び特性測定、リサイクル原子源の製作、ライゼムイ共振器の製作実験等を実施している。リサイクル原子源の周波数標準器での採用は、米国標準技術研究所のNIST-7の例があり好結果を得ている。我々のリサイクル原子源はこれを参考に設計したが、普通のコリメータで径が0.5mm位で小さい場合、ビームが出口の穴を塞ぎ出てこなくなることを経験しているのでNIST-7のようにしみだした原子をコリメータ内で通過させるのでなく、穴の開いたコリメータを通してその内壁に付着した原子をリサイクルさせることにした。このコリメータ材としては、取り扱いが容易なグラファイトをまず試験する。どの程度の穴の径で、どれ位の硬さのグラファイト材料が、この方式で有効か実験で明らかにする必要がある。グラファイトは吸着特性が優れ加工、使用後の交換が容易であり、経費節約ができるなどの利点がある。しかし、セシウム金属を吸着した後空気にさらして水分を吸収するとふやけて穴を塞ぐ危険性がある。このため、硬いグラファイトを用いてできるだけ空気にさらさないようにする。上記のリサイクル原子源を製作し、コリメータ入り口側の温度373Kのとき、出口側の温度331Kを熱電素子1段で得た。また、シミュレーション計算により、製作したリサイクル原子源と今後の改善、運用により期待される特性を明らかにした。製作した直径2mm、長さ20mmのコリメータで入り口の温度373K、出口の温度313Kの場合、ビーム指向性を1/12に改善する。コリメータ温度を373Kから20K上昇させることによりビーム強度を4倍にすることができる。そして、コリメータの長さを2倍の4cmにすることにより外に出る原子を1/2に減少でき、周波数標準器の周波数安定度を約2倍弱改善できる。この場合ビーム効率は4%となり、リサイクルによるビーム改善度は16倍となる。
著者
-
太田 安貞
通信総合研究所
-
畑中 宏樹
Department Of Electronic Systems And Information Engineering Kinki University
-
小竹 昇
Communication Research Laboratory M.p.t.
-
中桐 絋治
Department of Electronic Systems and Information Engineering, Kinki University
-
太田 安貞
Communication Research Laboratory, M.P.T.
-
梶田 雅稔
Communication Research Laboratory, M.P.T.
-
中桐 絋治
Department Of Electronic Systems And Information Engineering Kinki University
-
梶田 雅稔
情報通信研究機構
関連論文
- 30p-ZD-2 ポジトロニウムのレーザー冷却VIII
- 28a-K-8 ポジトロニウムのレーザー冷却VI : TOFを用いたポジトロニウムの速度分布の測定
- セシウムビーム周波数標準器用円筒コリメータ使用リサイクル原子源のビーム指向性と効率
- 衛星搭載水素メーザ用小型サファイア共振器の特性評価
- 衛星搭載水素メーザ用小型サファイア共振器の設計
- 衛星搭載用水素メーザの開発
- 衛星搭載水素メーザ用小型誘電体共振器の設計
- 31aSH-6 ^Na 線源を用いた低速陽電子パルス化ビームの改良
- 28aXG-10 原子泉型標準器における原子打上げ時の飽和効果の影響(量子エレクトロニクス)(領域1)
- 低速セシウム高安定周波数標準器の開発
- CRLにおける原子泉型一次周波数標準器開発
- Cs原子泉型一次周波数標準器の基礎技術の研究
- 26pA-12 打ち上げられたCs原子のTOF信号
- 水素メ-ザ原子周波数標準器 (周波数・時間標準特集号) -- (周波数・時間標準器)
- 27pSM-7 オルソポジトロニウムのレーザー冷却1 : モンテカルロシミュレーションによるレーザー冷却装置の開発
- 27pSM-7 オルソポジトロニウムのレーザー冷却1 : モンテカルロシミュレーションによるレーザー冷却装置の開発
- 光励起型一次周波数標準器CRL-O1の確度評価結果
- セシウム周波数標準器用リサイクル原子源のビーム効率
- 水素メ-ザ原子標準 (K-3型超長基線電波干渉計(VLBI)システム開発) -- (K-3型VLBI観測システム)
- 31p-K-7 Cs一次標準器の周波数不確かさ(原子・分子,量エレ合同)
- 31p-K-7 CS一次標準器の周波数不確かさ
- 25aC-1 赤外レーザーパルスを用いた原子ビームのコリメーション
- 29pSD-1 CaH^+分子イオンの振動周波数の精密計測(29pSD 量子エレクトロニクス(冷却分子・光周波数標準),領域1(原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理))
- 21aTC-1 分子イオンの回転基底状態への局在化(21aTC 量子エレクトロニクス(イオントラップ),領域1(原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理))
- 領域1「分子制御とその応用」(第62回年次大会シンポジウムの報告)
- 19pXK-7 マイクロ波でトラップされた線形極性分子間の衝突(量子エレクトロニクス(冷却原子実験・トラップ),領域1,原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理)
- 19pXK-8 磁場でトラップされたNH分子の衝突(量子エレクトロニクス(冷却原子実験・トラップ),領域1,原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理)
- 13pTF-15 変形波ボルン近似による極低温フェルミオン分子間衝突の解析(量子エレクトロニクス, 領域 1)
- セシウム一次周波数標準器 原子泉コリメーションによる周波数安定度の向上 (時間・周波数標準特集) -- (原子周波数標準)
- 28pRD-6 XLi分子の振動遷移周波数の精密計測 : XはII族原子の偶数同位体(28pRD 量子エレクトロニクス(冷却混合気体・冷却分子),領域1(原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理))
- 原子泉型一次周波数標準器NICT-CsF1 (時空標準特集) -- (日本標準時の高度化)
- 極低温分子の世界
- 27pXG-13 ボゾン、フェルミオン分子の蒸発冷却は可能か?(量子エレクトロニクス)(領域1)
- 29aYA-2 トラップ中の極低温分子の衝突
- 31a-ZC-5 原子ビーム内衝突における量子効果
- 31a-ZC-5 原子ビーム内衝突における量子効果
- 23pEE-2 光格子時計と単一捕獲イオンを利用したハイブリッド光時計の開発(23pEE 量子エレクトロニクス(周波数標準,イオントラップ),領域1(原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理))
- 光格子中のYbLi振動周波数における Stark シフトの除去
- 分子遷移周波数精密計測と基礎定数の変化検出