乳汁分泌を主症状とし高プロラクチン血症を認めた男性バセドウ病の1例
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概要
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バセドウ病では甲状腺腫,頻脈,眼球突出の3主徴がよく知られ,これらの症状から発見されることが多い.我々は3主徴を示さず,乳汁分泌を伴う女性化乳房を主訴に来院した男性バセドウ病の1例を経験したので報告する.他覚的に軽度の手指振戦を認め,甲状腺機能充進症とTSHレセプター抗体陽性でバセドウ病と診断した.LH,FSH,PRLの上昇を認め,SHBG増加を伴うE2,Teの上昇を認めた.バセドウ病に対してチアマゾール内服加療を開始し甲状腺機能は改善し,乳房の痛みや乳汁分泌,乳房腫大も消失した.チアマゾール治療開始後SHBG,Te,E2は正常範囲内に低下,PRLも正常範囲に入った.乳汁分泌,高PRL血症を伴う甲状腺機能亢進症で甲状腺機能とともに改善した稀な症例を経験したので報告する.男性患者で女性化乳房を認める場合にはバセドウ病の可能性を念頭に置く必要があると考えられる.
- 近畿大学の論文
著者
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石井 秀司
近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科
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石井 秀司
近畿大学医学部堺病院内分泌・代謝科
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藤本 美香
近畿大学医学部堺病院内分泌・代謝科
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田中 陽一
近畿大学医学部堺病院内分泌・代謝科
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藤本 美香
近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科
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田中 陽一
近畿大学医学部堺病院 内分泌・代謝・糖尿病内科
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