中国における社会主義農業金融の展開
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概要
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1958年の下半年に成立した人民公社は,国の工業化がたちおくれた,しかも農業生産力水準が低い,そのような社会主義国家での集団所有制の組織である.そうしたある意味では特異な条件のもとでの農業組織として,人民公社が成立してからのちは,中国農業研究の主題は,人民公社そのものの研究とともに,人民公社の成立にいたる過程で,国民経済の後進的諸条件が,社会主義農業組織の展開にたいして,どのような特異性をもたらすかの分析を正面におしだすことになった.小論は,そのような問題意識にたって,人民公社の成立にいたる過程を,農業金融の側面から実証的に研究することを試みたものである.したがって,農業金融をふくめて,金融研究がその研究対象のゆえに,具体的な経済現象を,抽象な指標において捉えざるをえないにもかかわらず,小論においては,貨幣流通の展開されるメカニズムそのものに,重点をおくことになった.しかし,中国農村における社会主義金融の展開にかんする研究は,当然のことながら,農業の再生産過程における貨幣の流通,金利体系と金利の経済学的研究をふくまなくてはならないが,この研究の部分は他日にゆずる.
- 政治経済学・経済史学会の論文
- 1963-04-20