準定常的既約型一般ラムゼー成長モデルについて-最適経路の存在と近傍ターンパイク定理-
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概要
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マッケンジー教授による『古典的一般均衡理論』(2002,MITPress)の最終章(第7章)では、離散型多部門経済成長モデルの枠組みで既約型一般ラムゼー成長モデルにおける通常ターンパイク定理が扱われていて、将来効用の割引の存在とは関わり無く、最適経路が最適定常経路に収束して行く事が示されている。ただし、この結果の前提である最適経路の存在に関して、ターンパイク定理の証明で必要となる定常的な最適経路の存在以外には示されていない。そこでまず、マッケンジー(1983、86)に従って、将来効用に割引のある既約型一般ラムゼー成長モデルにおける最適経路の存在を示す。次に、マッケンジー(2002,第7章)では、最適経路が最適定常経路の近傍に収束して行く近傍ターンパイク定理で必要となる最適定常経路の存在が、マッケンジー(1982,86)に沿って角谷の不動点定理を応用する形で行われているので、その議論を行う。最後に、マッケンジー(2002,第7章)では、マッケンジー(1982)に沿った形で、最適経路が最適定常経路の近傍に収束して行く近傍ターンパイク定理の証明が行われているが、その証明は複雑なので、それをより分かり易く修正した証明を与える。これらによって、マッケンジー(2002、第7章)における将来効用の割引のあるケースの定常的な離散無限期間の既約型一般ラムゼー成長モデルに関する議論を補完して、より分かり易くする事が本稿の主な目的である。
- 北海道大学の論文
- 2009-03-12
著者
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