世代間における医療資源の配分 : 診療報酬改定の影響
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概要
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これまでの医療費抑制に関する研究において,診療報酬による価格統制の通時的な効果は分析されていないと思われる。本稿では,診療報酬の改定によって医療の相対価格が上昇し,医療に対する家計の選好が変化したことを表した。医療支出とその他の消費支出から効用を得る家計の効用最大化問題を解いて医療需要関数を導出した。医療支出,その他の消費支出と医療の相対価格はすべてI(1)変数であり,3変数間に1組の共和分関係が見出された。1992年1月から2003年12月の月次データを用いた医療需要関数の推定結果より,単位あたりで医療支出(自己負担分)から得る家計の満足度が時間を通じて低下したことを明らかにした。医療の相対価格の上昇が続けば,少子高齢化が進むことによって,医療支出から得る家計の満足度(単位あたり)が一段と低下する。
- 近畿大学の論文
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