らい予防法下のハンセン病患者への生活支援 : 国立療養所におけるケースワーク事例を通して
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概要
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ハンセン病患者への補償問題がいちおうの決着を迎え,療養所に配置されたソーシャルワーカーに新たな役割が求められている現代においてこそ,らい予防法下でのソーシャルワーカーの支援の特質やその位置づけを歴史的に明らかにすることは,現在の療養所における支援のあり方を検討する際にも意義のあることである.本研究では,歴史研究の第1段階として,1953(昭和28)年に岡山県の長島愛生園で実施されたケースワークの6つの事例を検討した.これらの事例を通して,1948(昭和23)年に提示された当時の厚生省編の「運営指針」において記載されているような,患者の状況を理解して,患者自身がその問題に気づくように支援し,社会資源を利用しながら医師や他の職種との連携といった,治療を妨げている個人の社会・経済的な問題の解決を主としたケースワークが実践されていることが分かった.このような実践事例は,これまで明らかにされてこなかった,らい予防法下つまり強制隔離政策という制限のあるなかでの,ソーシャルワーカーの機能や役割を検討する材料のひとつとなると考えられる.
- 2008-11-30
著者
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