看護師長がとらえた新人看護師の適応状況と看護師長の対応に関する質的分析
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概要
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新人看護師は、実践の場において疾病構造・患者構造の変化や看護によせる社会の期待をはじめとしたさまざまな状況に対応する機会が多くなっている。新人看護師の早期退職が問題とされている中、看護専門職として医療の場に円滑に適応する支援は多くの取り組みがされているが、看護師長が新人看護師の適応促進に果たす役割はいまだ明らかにされていないのが現状である。そこで、新人看護師の適応促進を目的とした看護師長のための支援プログラムの開発に先がけて、今回は、看護師長がとらえた新人看護師の実践現場における適応状況やそれらへの看護師長の対応を明らかにする。対象施設は、近畿圏内の医療法人A・Bの2施設で、ともに看護職員配置基準10:1を取得しており、プリセプター制度を導入していた。対象者は、看護師長10名(女性10名)で、看護師の経験年数19.5年(16-26年)、看護師長の経験年数3.5年(1-6年)年を有していた。所属病棟は、内科系、外科系、混合病棟であった。調査方法は、半構成式面接法を用い質的な分析をおこなった。看護師長がとらえた新人看護師の状況が抽出され、看護管理者として新人看護師を支援する重要な役割があることが示唆された。結果から、看護師長がとらえた新人看護師の適応状況を示す【看護基礎教育と臨床とのギャップ】【看護業務量の過重】【意思の表現】【看護師としての姿勢】と、看護師長がとっている新人看護師への対応を示す【個別性を考慮した指導】【段階的な育成】【効果的なチーム編成】【処遇への配慮】【看護師間のサポートへの支援】【ケアする者としての承認】【看護ケアの意味や本質】という11のサブカテゴリーが抽出された。これらは『実践現場への環境適応』、『看護師としての資質』、『新人看護師の育成』、『チームでの育成』、『働きやすい環境』、『サポート』、『充実したケア』のカテゴリーを構成していた。看護師長は、実践現場における教育体制の見直しや、新人看護師をエンパワーするため看護師長のビジョンを伝え自身のキャリアをふまえた新人看護師を支援する機会を積極的にもつなどの対応をおこなっていた。今後は、新人看護師を対象とした適応状況などを調査し、看護師長が用いる具体的な支援プログラムの開発に取り組む必要がある。
- 兵庫県立大学の論文