師長の変革的リーダーシップと職務満足に関する研究 : 看護師の臨床経験年数と看護基礎教育との関連
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概要
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激動する社会情勢において看護への需要は大きく変化し、看護は社会のニーズに応えることが望まれている。本研究では、看護師が認知する師長のとる変革的リーダーシップや看護師の職務満足について看護師の臨床経験年数や看護基礎教育との関連を検討し、看護への示唆を得ることを目的とした。対象は、一般病棟に勤務する看護師1,489名で、無記名自記式調査を行い、郵送により回収した。測定用具は、信頼・妥当性を検討のうえ「師長の変革的リーダーシップ」測定用具と、「看護師の職務満足」測定用具を用いた。統計は、分散分析、多重比較により分析した。倫理的配慮として対象者に十分な説明を行い、同意を得た。その結果、有効回答は609(有効回答率40.89%)で、対象者の平均年齢は29.90±6.90歳、平均経験年数は8.17±6,55年であった。看護基礎教育は3年制専門学校が81.3%を占めていた。1.変革的リーダーシップ : 1)経験年数との間には、効果があり(分散分析、p<.01)、経験年数6ヶ月-3年の平均値が最も高かった(p<.01)。2)看護基礎教育との間にも有意な効果があり(分散分析、p<.01)、大学卒業者がリーダーシップを最も高くとらえ次いで3年制短大の順であった。2.職務満足 : 1)経験年数との間には、有意な効果が示された(分散分析、p<.01)。経験年数が多くなるにつれ満足度が高くなっていた(p<.05, p<.01)。2)看護基礎教育との間に効果があり(分散分析、p<.01)、3年制短大が最も平均値が高く、大学卒業者の満足度はやや低い値を示した(p<.O1)。経験年数と看護基礎教育は、看護師がとらえる師長のリーダーシップや職務満足に関連していることが明らかになった。基礎教育とともに、師長のリーダーシップ改善教育の必要性が示唆された。また職務満足は、採用年数の浅い看護師の職務満足が低く、離職の要因を示唆しており看護管理者の支援は重要な課題である。
- 2007-03-15