愛知万博アンケート調査による来場者の場内行動についての統計的分析
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概要
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本稿は,2005年に開催された愛知万博の来場者を対象に実施したアンケート調査の集計結果から,回答者の属性が会場内での行動に与える影響について分析を試みるものである。博覧会会場には一般の街区と同様に広大な空間の中に店舗,施設,交通機関などが多数存在するが,会場は外部と隔離されているため来場者の行動が把握しやすく消費者の行動調査を実施するのに適している。そこで愛知万博の来場者を対象に,園内での行動についてのアンケート調査を実施した。調査の結果,人気のパビリオンが集中するゾーン(センターゾーン,企業パビリオンゾーンB)では全ての属性の来場者が高い滞留率を示した。これに加え,夫婦での来場者はグローバル・コモン(外国パビリオンの出展ゾーン)の滞留率が高く,子供連れでの来場者は森林体感ゾーンや遊びと参加ゾーン(遊園地的地域)の滞留率が高かった。恋人との来場者はグローバル・コモンの滞留率が低く,遊びと参加ゾーンの滞留率が高かった。外国パビリオンについては,男性はアフリカ,女性はヨーロッパ地域のグローバル・コモンにおける滞留率が高かった。また,回答者の多くは最初に観覧する予定のパビリオンを事前に計画し,入場ゲートから目的のパビリオンのあるゾーンへ直行していることが分かった。さらに,最初に観覧するパビリオンは最も人気の高いパビリオンの中から選択されていた。食事は,昼食はテイクアウト,夕食は各国料理のレストランが利用されることが多く,食事代も土産物代も女性のほうが多く支出していた。園内での移動手段にはアトラクション的な要素の高いものが選好されていた。外国パビリオンより企業パビリオンの人気が高く,男性は先端技術の応用,女性は地球環境や美をテーマにしたパビリオンを高く評価した。