高周波グロー放電を用いる電子顕微鏡試料作製技術
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概要
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高周波グロー放電(rf-GD)は,薄膜試料の深さ方向の組成分析を目的とする発光分光装置等広い分野で利用されている.この高周波グロー放電で発生するAr^+イオンは,照射エネルギー(<50eV),イオン電流(〜100mA/cm^2)であり,試料へのダメージが主要な検出法の検出下限以下であり,物質への影響を最小限としながら,一方高速スパッタリングを両立したユニークな性質を持っている.近年走査型電子顕微鏡(SEM)は,フィールドエミッション電子銃を搭載により1〜1.5kVの低加速電圧での観察が可能となっている.加速電圧1〜1.5kVのSEM検出信号(2次電子,反射電子)は試料表面数原子であり,ダメージのない迅速な試料最表面の前処理が求められている.低加速電圧SEMにrf-GDを用いた試料前処理を組み合わせることによって,SEMのイメージは著しく改善され材料に関する多くの情報を得ることができる.更に,rf-GDは透過型電子顕微鏡(TEM)試料作製,フォーカスイオンビーム装置(FIB)の課題とされているガリウムイオンによる汚染層除去に極めて有効な手段である.SEMを中心にTEM,FIBへの応用について紹介する.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2008-11-05
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