東アジアにおける国際分業と日本のEPA戦略
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概要
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近年、グローバリゼーション(Globalization)が急速な進展を見せる中、我が国の貿易構造や貿易政策は大きな転換期を迎えることとなった。そして、グローバリゼーションの大きな流れの中で近年特に注目を集めているのがFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)、EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)である。本稿では、まずEPAを締結する経済的メリットについて考察し、さらに、アジア地域におけるEPAの取り組みの最新の状況について論じた。我が国がこれまでに署名・締結した国・地域は8力国(シンガポール、メキシコ、マレーシア、フィリピン、チリ、タイ、ブルネイ、インドネシア、以上署名・締結順)1地域(ASEAN:東南アジア諸国連合)である。EPAにはEPAを締結した両国に大きな経済的メリットがあり、EPAを締結することはEPA締結国双方の経済発展に大きく寄与することが期待されている。しかしながら、EPAの締結によつて、我が国の非効率な国内産業部門には、短期的には産業調整コストの発生や失業などの「痛み」をもたらす可能性がある。とはいえ、中・長期的にはEPAの締結は、国内の資源の効率利用を促進し、産業構造の高度化を後押しすることになる。今後の政策課題として重要なことは、EPAの締結によって生じるコスト、換言すれば、貿易・投資の自由化に伴う短期的な失業者の発生や産業構造の転換に伴う構造調整に対してはセーフティネットを構築して適切なサポートをすることである。こうした短期的な「痛み」を克服した先には、長期的な経済発展や経済成長の利益があることを銘記しなければならない。
- 2008-03-20
著者
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