間主観的アプローチから見た治療的やり取りの検討(人文学部)
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概要
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ストロロウStolorow,R.D.らが提唱する間主観性理論は、コフートの自己心理学理論から発展した新しい精神分析理論として近年注目されている。彼らは、これまでの古典的な精神分析が前提としてきた自然科学的、客観主義的なスタンスを完全に否定し、治療場面において起こっていることはすべて、治療者の主観とクライエントの主観の交流によって生み出された間主観的な現象として捉え、クライエントの自己体験のあり様に焦点を当てたアプローチの必要性を主張している。間主観性理論は、現象学的な議論や哲学的思索を含み、難解な理論的側面を有しているが、そのアプローチは極めて臨床的で重要な治療的感覚を我々に提示しているように思われる。そこで本稿では、間主観性理論がコフートの自己心理学理論をどのように修正したかを概観し、間主観的視点の特徴を明らかにしたい。さらに、提唱されている間主観的アプローチは、実際の臨床でどのように用いることができるかについて、実際の臨床的やり取りを例にして検討し、間主観的視点の臨床的意義について考察する。
- 甲子園大学の論文