臨床場面における治療的相互交流の共同構築について
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概要
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本論文の目的は、精神療法の面接場面において、治療者と患者のやり取りの中で生じる治療的相互交流と、それに伴う治療者の基本的スタンスについて検討することである。現代の精神分析は、禁欲原則を守った治療者が患者に解釈を与える治療から、治療者と患者の関係性を重視し、治療者と患者が共同で探索しあう治療へと変わりつつある。そこには、精神分析治療の何が治療作用を持っているのかを見直し、伝統的精神分析の治療者の基本的態度を再検討しようとする動きが伴っている。本論文では、そうした現代精神分析の動向と、今日の自己心理学派の技法的原則を概観し、治療的相互交流を促進する治療者の基本的態度について考察する。また、そうした「治療者と患者による治療的相互交流の共同構築」として捉えられる面接場面でのやり取りを臨床例から具体的に取り上げ、そうしたスタンスを取った際の治療者の主観的体験についても考察する。
- 甲子園大学の論文
- 2007-03-31