培養細胞を用いたgap-junctionを介する細胞間情報交換に関する研究 : Scrape-loading法による検討
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概要
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細胞の正常な成長と分化を左右する重要なファクターである「gap-junction(ギャップ結合)を介する細胞間の情報交換(Gap junction intercellular communication, GJIC)」の研究にはelectrocoupling、microinjectionした後の色素の移動、放射性代謝産物の移動、ある代謝系の酵素に欠陥のある細胞同士の代謝協調、FRAP解析(fluorescence recovery after photobleaching)など、様々な手法が用いられており、それぞれ利点をもっているが、方法が複雑だったり、高価な機器が必要だったり、実験の遂行に時間がかかったりといった欠点もあって、広く行われるに至っていない。我々は、"Scrape loading"によって、膜不通過性の分子を細胞内に導入することができるというMcNeilら(1984)の観察をもとに、El-Fouly, Trosko and Chang(1987)によって考案されたscrape loadingによって細胞内に導入した蛍光色素lucifer yellowの隣接細胞への拡散を利用してGJICについて研究する方法の有用性について、腎由来の上皮様細胞であるNRK-52E細胞を用いて検討を行った。Scrapeによって傷ついた細胞に直接入った色素とscrapeによって細胞に入った後、隣接した細胞にgap junctionを介して拡散した色素との鑑別は、同時に適用したethidium bromideによる蛍光を観察することによって行った。その結果、NRK-52E細胞でも、GJICが活発に行われていることが明らかとなったが、腫瘍プロモーターとして知られているTPA( 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)は、この細胞ではGJICを抑制しなかった。
著者
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