環境化と流域社会の変容 : 愛知県矢作川の河川保全運動を事例に(テーマ:地域資源の総合的管理をめざして,2005年春季大会論文)
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概要
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本稿では戦後の河川保全にかかわる関係主体(所有,管理,利用)の歴史過程を検討することを通して,河川保全運動が要請しているあらたな流域社会像のありかたについて議論する。河川は明治以降,国家による集権的管理がすすみ治水については国家の一元的管理が行われてきた。他方,利水については慣行的な権利主体であった農業者と漁業者がそれぞれ土地改良区,漁業組合を結成してそれぞれの権利を行使する一方,産業化によって要請された電源開発による水利権が競合する事態がながく続いてきた。その場合の河川をめぐる公共性は基本的には河川管理者である国と利水者(農業者,漁業者)間の問題であった。しかし,高度成長期の河川の水質汚濁問題を基点として環境問題が重要な論点となった。さらにその後,1997年の河川法改正で治水・利水に環境が加えられたことに端的に見られるように,川の環境的価値が重要な論点となっている。環境的価値の組み込み(環境化)は流域全体にまで河川保全の関心領域を拡大させ(流域社会化),あらたな流域社会像と住民を含む関係主体の変容と主体間のコンセンサスの構築(NPO化)を要請している。
- 2005-03-01
著者
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