資源利用からみたエゾシカの保護管理 : 北海道足寄郡足寄町の事例
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概要
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本論では,ハンターを担い手とするエゾシカ(Ceruvus nippon yesonsis)(以下シカ)の資源管理を実現する上での問題点を,現状分析を踏まえて論じた。従来シカの保護管理は農林業被害というシカの負の価値にのみ着目して考えられてきた。安定した生息水準を達成しながら捕獲個体を利用してシカによる不利益を補填する,シカの資源としての正の価値に着目したシステムの導入が必要である。現実にはハンターによる捕獲圧が不足して,シカの安定した生息水準は達成されていない。自治体による駆除個体の食肉資源化事業は,素材や販売量が確保できないため,恒常的に利益を生まず,実質的なシカの資源管理システムは実現していない。システムを実現するには,捕獲目標を達成して補填すべき農林業被害を低減させること,素材回収体制の改善や利益率の高い商品の開発によって,既存事業を効率化すること,資源化の対象を拡大することが必要である。システムに寄与するハンターの育成には,資源利用を推進する教育体制,地域の資源管理への参画機会の設定,ハンターの社会的寄与の普及等,ハンターがシカから効用を多様に得られる環境整備が必要である。
- 2003-03-01
著者
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