中国の半乾燥地域における「小流域総合整備開発」の実施体制 : 内蒙古自治区伊克昭盟の事例
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概要
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近年,中国の半乾燥地域では「小流域総合整備開発」という新しい土地整備プロジェクトが遂行されている。本稿では内蒙古伊克昭盟の事例を取り上げ,「小流域総合整備開発」の実施体制について検討した。伊克昭盟の「小流域総合整備開発」は大きな進展を遂げたが,実施体制から見た主な進展要因としては,(1)各級政府による強力な行政指導,(2)中央財政と自治区財政による投資の増加,(3)外資の導入,(4)農家の権利と利益の重視などが挙げられた。現行の「小流域総合整備開発」実施体制に存在する問題点としては,以下の4点が明らかにされた。(1)農業,林業,畜牧,水利など各関係部門の連携が不十分であり,計画の作成,実行及び検査が分散的に行われることによって部門計画の重複や抵触が生じやすい。(2)各種の投資ルートの中で地方財政による投資が明らかに少ない。(3)最も具体的な仕事を担当する各郷の農業,林業,畜牧,水土保持の各ステーションは,組織が不完備であり,定員が少なく,職員の専門的レベルが低いなどの問題を抱えている。(4)農家の動員,土地使用契約の締結,労働力の調達など重要な役割を果たす村民委員会は組織が薄弱で,役員の待遇が低いため,十分に対応していない。
- 2001-07-16
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