科学技術の専門家に説明責任が生じる局面の探求 : 科学技術の特殊性と社会的責任を視点として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
科学技術と社会が健全な関係を維持するためには,科学技術と社会のコミュニケーションが求められる。本論は,科学技術の専門家が負う説明責任に焦点を絞り,責任が生じる局面の抽出を通して,科学技術における説明責任の概念に迫るものである。まず,説明責任の関連用語(アカウンタビリティ,知る権利,情報公開)の語義の分析に基づき,分野を科学技術に限定せずに,日本社会における説明責任の一般的な概念を整理した。さらに,社会システムを構成する一要素としての科学技術の特殊性を抽出した。これらの結果を踏まえて,科学技術の専門家に説明責任が生じる次の4つの局面を切り出した。(1)資源が負託されたとき,(2)権限が負託されたとき,(3)人体(個人/集団)に対する影響が生じるとき,(4)社会(現在/将来)に対する影響が生じるとき。これらと現行の科学技術政策において説明責任が生じるとされている局面を比較し,その差異について指摘した。本論によって,科学技術の専門家は自分たちがいつ社会に説明すべきかが分かり,自律的に説明責任を遂行することができるようになる。また,社会の側も,いつ専門家に責任追及すべきかを判別することが可能となる。さらに,説明責任を課せられた側と課す側がその責任の概念を共有できれば,専門家と社会の双方の参加による,「社会のための科学技術」の実現の一助となる。
- 2008-09-26
著者
-
林崎 規託
東京工業大学
-
鳥井 弘之
東京工業大学 原子炉工学研究所
-
鳥井 弘之
科学技術振興機構
-
鳥井 弘之
東京工業大学原子炉工学研究所
-
嶋林 ゆう子
独立行政法人科学技術振興機構
-
林崎 規託
東京工業大学原子炉工学研究所
関連論文
- 21pBF-7 大気陽電子顕微鏡用高周波空洞の開発(21pBF ビームダイナミクス・数値計算・電子顕微鏡・線形加速器・ビーム源・ビーム診断,ビーム物理領域)
- 社会と原子力の関係に関する社会調査
- 原子力の社会的責任(NSR)における個人倫理と組織倫理 : SRイニシアチブの制定と内部制度化に関して(統一論題 個人倫理と組織倫理)
- 最終処分地における参加型意志決定過程
- 第2回COE-INES国際シンポジウム, INES-2サテライトシンポジウム : 最終処分地 : それは一体どのように決まったのか?
- 科学技術の専門家に説明責任が生じる局面の探求 : 科学技術の特殊性と社会的責任を視点として
- 放射性廃棄物管理施設の立地におけるリスクコミュニケーション
- クリアランス制度の理解促進方策に係る考察
- E04 子供達の理科に関する興味を探る : 高校生へのアンケート調査より(理科教育, 日本理科教育学会 第45回関東支部大会)
- 学術講演「科学技術側の課題、 市民の課題、それを支える人材」
- 科学・工学的判断と司法
- 社会に信頼される原子力を目指して : 原子力と社会の共進化
- 核燃料サイクル開発機構における東京工業大学大学院原子核工学実験
- 2G13 科学技術の専門家はどのように説明責任を果たせばよいか : 公的研究資金を事例とした説明の場の設計方法への提言(基礎的研究の社会的意味(2),一般講演,第22回年次学術大会)
- 特集 日本の未来と科学技術リテラシー
- 新基本計画の課題 (今月のテーマ 新科学技術基本計画と大学)
- 科学技術と社会の相互作用を考える〔含 討論〕
- パネルディスカッション テーマ:21世紀のエネルギー・地球環境と技術を考える (特集 〔エネルギー総合工学研究所〕創立25周年記念特別シンポジウム--21世紀のエネルギーと技術戦略)
- 安全・安心社会を考える[含 抄録]
- 徹底分析 高レベル放射性廃棄物処分 フランスの進め方
- 26pGAB-11 陽電子発生専用超伝導加速器の開発(26pGAB ビームモニタ・大強度ビーム・加速器応用,ビーム物理領域)
- 27pTN-4 低速陽電子ビーム大気取り出し法の研究(27pTN X線・粒子線(陽電子・電子線),領域10(誘電体,格子欠陥,X線・粒子線,フォノン))
- 21aJA-12 低速陽電子ビームを用いた大気中試料の空孔分析法の開発(21aJA X線・粒子線(電子線・陽電子),領域10(誘電体,格子欠陥,X線・粒子線,フォノン))