身体表現性障害と語り : NBMにおける語りの治療的意義の検討
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概要
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近年,evidence based medicine (EBM)を補完するものとしてnarrative based medicine(NBM)が提唱されているが,医療における物語の機能はそれにとどまらず,語ること自体に治療的意義があると思われる.語りの治療的機能を検討するため,われわれは治療経過において,複数の物語を展開させた身体表現性障害女性症例を提示し,考察を加えた.患者は長期間顔面の感覚異常を訴え,多くの身体的治療が無効に終わった後,精神科病棟に入院した.2度目の入院で,患者はそれまで触れなかった家族との葛藤を語り,その後身体へのこだわりが和らいで症状が改善した.治療経過を検討すると,(1)身体疾患としての物語り,(2)うつ病としての物語り,(3)人生の問題という3つの物語りをみてとることができ,治療過程において当初優勢だった(1)が後景に退き,(3)が表面に出ることによって患者の生活や対人関係に変化が起きたと考えられた.
- 2008-11-01
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