患者とのズレ(不一致)に繋がる看護師の思考・感情・行動の特徴 : 看護場面の再構成による自己との対峙から
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概要
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本研究の目的は、研究者自らの看護実践場面から看護師としての思考・感情・行動の特徴を抽出し、看護の目的を達成するための看護師の思考・感情・行動のあり方を考察することである。患者とのズレを感じた15場面を再構成し、各場面における患者-看護師間のコミュニケーション過程を、E.ウィーデンバックの自己評価項目に照らし、第三者と振り返った。その結果、ズレに繋がる看護師の思考・感情・行動の特徴として【看護師の思いを先行させること】が抽出された。しかし同時に看護師の思考や感情は看護師としての内的な限界にもなり得る一方、患者の援助へのニードと、時間・場・他職種との意見の相違といった【ケアの場の制約】として存在する外的な限界との間に生じる葛藤を打破する資源にもなり得ることも確認された。これらのことから、看護師は、現在の力を自覚し、臨床の場で生じる矛盾を調和的に解消していくための訓練が必要であり、その方法として自身の実践場面を再構成し第三者と振り返る過程そのものの有効性が示唆された。