単一欧州市場の脱神話化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
EUの下での地域経済統合は,域内市場の自由化,単一欧州市場を形成し,共通政策の策定実行,加盟国の拡大という「上からの統合」,並びに,企業を中心とする経済主体が対応する「下からの統合」の相互作用の中で進んできたてきた。「上からの統合」中心をなす単一欧州市場は,EU経済の活性化に寄与しながらも,未だ当初の目的を十分に実現できていない。欧州委員会は,域内市場の自由化の不完全さにその原因を求めるが,その特殊性についての十分な検討がなされていない。即ち,EUの統合が自由主義的方策に傾斜すること,その自由化の過程そのものの特性,そして,自由化された市場が,国民的制度との間で一定の補完緊張関係を持ちながら機能せざるを得ないことであった。資本主義経済において,市場が重要な役割を果たしてきたことについては疑いようもないところであるが,EUが構築しつつあるSEM,それは未完成なものであっても,国民的市場が単に地理的領域を拡大したものではない。
- 2008-12-11
著者
関連論文
- 単一欧州市場の脱神話化
- 欧州共同体の共通通商政策の政治経済学 : 1970年〜1973年の対日共通通商政策の展開を中心にして
- 市場と企業 : 分業を基軸に見る現代経済
- 地域経済統合下の直接投資と関連産業貿易 : 日系自動車企業の対英投資とイギリス自動車部品産業を題材として
- 1990年代における欧州経済の回復と労働市場,EU統合
- EU製薬産業統合の経済学的分析 : 医薬品販売承認手続に即して(ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
- 統合ヨーロッパにおける企業戦略 : 日系自動車企業の非生産部門を含む対EU進出を題材にして
- 欧州共同体とガツト : 東京ラウンドにおける選択的セーフガードを中心にして
- 『世界銀行の成立とブレトン・ウッズ体制』, 本間雅美著, 同文舘, 1991年
- ERMデータについての覚え書き
- 企業の社会的責任、その背景と意義
- 在欧多国籍企業の事業拡大と縮小に関する試論 (野方宏教授退任記念号)
- 地域経済統合と直接投資--1980年代後半以降の日本の対EC直接投資とEC統合へ与えた影響に関する分析 (EU経済と金融・証券市場)