EU製薬産業統合の経済学的分析 : 医薬品販売承認手続に即して(<特集>ヨーロッパ統合研究への新たな視座)
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概要
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本稿は,EUの制度的発展の経済的論理を解き明かすために,製薬産業における統合を分析した.まず,経済学文献における制度の取り扱いをサーベイしたうえで,従来の研究の特徴と限界を指摘した.それに統いて,EU製薬産業の統合経緯について,医薬品販売承認手続の統合に即しながら具体的に概観した.そこから明らかになった三つの特徴,即ち,1980年代半ば過ぎからの統合の進展,統合過程における二つの制度の並存,バイオ医薬品の中央申請方式義務付けについて,その説明を試みた.そこからは,不確実性・不完全情報,世界的競争条件,そして,産業的利害と社会的利害の補完・緊張関係が制度生成・発展に大きな影響を及ぼすことが示された.最後に,本稿の分析から得られた知見を他の統合局面,並びに,EU全体の統合分析にどの程度生かすことができるのか,ということを今後の課題として示唆した
- 東京大学の論文
- 2003-01-30
著者
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