米国の経常収支問題によせて
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概要
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米国の経常収支赤字は四半世紀にも及び,世界最大の純債務国となってすでに久しい。このような状況については,懸念を示す立場と楽観する立場とがある。この問題が今後どのように推移していくのか,非常に関心を惹くところだが,これまでの経過においてもいくつか興味深いことがある。第1に,90年代以降の経常収支赤字拡大と実質為替レートの動向はどのように説明できるのか。第2に,世界最大の純債務国になって久しいにもかかわらず,米国の投資収益収支がいまだに黒字を保っているのはなぜなのか,また,いつまでこの状態が続けられるのか。第3に,現在の純債務残高が経常収支赤字の累積額に比べるとはるかに少ないのはなぜなのか。本稿では,これらの問題に定量的にアプローチすることにより,米国経常収支問題の具体的なイメージを提示する。本稿の分析は,米国経常収支の拡大が限界に達したこと,そして調整過程が始まったことを示唆しており,資源価格の高騰という波乱要因はあるが,今後は実質ドル減価がいっそう進むと予想される。
- 北海道大学の論文
- 2008-12-11
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