民間信仰における信仰と外部性 : 民俗調査からの再考(<特集>宗教批判の諸相)
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概要
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本論は、民間信仰における信仰の問題を、その民俗的枠組みではなくその外部との関係性、言い換えれば権力という枠組みに再配置し理解する方法を探るものである。日本民俗学においては、民間信仰は民俗社会という閉じた共同体の中で、祭祀対象とその担い手の間で形成されるとみる傾向がある。そこには、その宗教的枠組みと外部との関係性、その権力関係が看過されている。本論では、北部九州の粥占という儀礼と願の概念を再検討し、この正統性を保証する外部性を考慮せずこれらを理解することが困難である点を示す。この種の外部性の排除の根底には、近代という制度に組み込まれ自明視された民俗/宗教の区分が存在しており、その脱構築こそが今後の民俗文化研究に必要であると思われる。
- 2008-09-30
著者
関連論文
- 林行夫編著, 『の実践宗教-大陸部東南アジア地域と宗教のトポロジー-』, 京都大学学術出版会, 二〇〇九年二月二五日刊, 菊判, x+八三六頁, 六四〇〇円+税
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