「運動物体に内在する力」概念克服のための新実験教材
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概要
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本研究では,「運動物体には運動する方向に力が働いている」という中学生や高校生の素朴概念を科学的概念に変換するための新しい実験を考案した。又その実験の教材としての可能性を検討した。考案した実験はガリレオ・ガリレイの思考実験からヒントを得て,市販されている実験器の台車で重さの異なる2台を双方向に伸縮する柔らかいバネで接合した簡易な装置を自作し,その装置を等速水平運動,斜面上の等加速下降運動および等減速上昇運動で実験を行った。その結果再現性のある明瞭な実験となった。その装置による等速水平運動でバネが伸びるあるいは縮むという何らかの力の作用が生じると予想する中学生及び大学生が約70%存在した。一方,改めて別の大学生に予想させた後に実験を観察させたところ,誤答を予想した学生の約40%以上が自分の素朴概念は間違いであり台車の重さに依存するような台車白身の推進力は存在しないという概念変容を得た。考案した新実験装置によって等速水平運動,斜面上の加速運動及び減速運動をさせてバネの様子を生徒に観察させる実験を「力と運動」の教授内容に組み入れるならば,生徒の素朴概念の感性的な克服に効果が期待されると思われる。
- 2007-07-31
著者
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