亜熱帯常緑広葉樹林の樹木における異なる空間スケールでの解析から検出される地形依存的分布パターンの変化(<特集>日本におけるLTERの稼動 : 森林科学からのアプローチ)
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概要
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沖縄島北部の亜熱帯常緑広葉樹林の樹木の分布パターンにおける地形依存性の変化をさまざまなスケールで検討した。地形の傾斜と起伏は,地形を評価する方形区のサイズの変化に応じて変化するとともに,その空間的なパターンも変化したが,異なるスケール間には有意な正の相関があった。樹木各種が分布する方形区の傾斜および起伏の中央値の順位はスケールが変わってもあまり変化しなかった。一方,種ごとの分布パターンのスケール間比較を行った結果では,空間スケールの違いによって一部異なる分布傾向が認識されることが示された。イタジイはどの空間スケールでも凸状地に偏った分布が認められたが,35m×35mのスケールでは谷や尾根のどちらにも広く分布し,その大きな谷や尾根の中にある5mx5m程度の小さな凸状地に集中する分布が検出された。イジュはいずれのスケールでも,イタジイが分布する地形に比べ急傾斜の凹状地に分布する傾向が検出された。イタジイは個体サイズが大きくなるほど,傾斜がより緩く,より凸状の斜面に偏る分布傾向が認められたが,イジュでは個体サイズと分布する地形との間に明瞭な関係はみられなかった。以上のような樹木の地形依存的な分布パターンには,樹木個体群が地形に対応した結果により生じたものに加え,調査地の地形構造の特性を反映した結果により生じた可能性もある。
- 日本森林学会の論文
- 2007-10-01
著者
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