Bursaphelenchus属線虫の分類と系統(<特集>マツ枯れ)
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概要
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糸状菌食性線虫の1グループであるBursaphelenchus属は,2種の致死的植物病原体,マツノザイセンチュウ(B. xylophilus)とred ring nematode (B. cocophilus)を含むことから,属全体が栽培植物や森林樹木への潜在的脅威とみなされてきた。近年,マツノザイセンチュウがヨーロッパへ侵入し被害が発生したことから,本属線虫の同定,分類,種類相の把握の重要性が世界的に再認識されている。このような状況の下,本総説ではBursaphelenchus属線虫の分類,同定に関する研究の現状をまとめ,これらの研究結果を比較した。本属は現在約80種を含む,形態的,生態的にも非常に多様な属であり,一般的には形態観察,または分子系統学的手法を用いて分類,同定が行われている。形態分類では,主に交接刺の形状が重要形質とされているが,これによる分類結果と分子分類法による結果を比較したところ,交接刺の形状は比較的よく系統関係を反映しているが,いくつかグループで形態的収斂が起こっていることが推測された。また,分子系統解析結果を生態的特徴と比較したところ,昆虫を媒介者として利用する性質が属内で複数回にわたって発生したことが示された。
- 日本森林学会の論文
- 2006-10-01
著者
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