リハビリテーション医療における技術の進歩(<特集>医療技術と医療福祉学)
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概要
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戦後から普及し始めたわが国のリハビリテーション医療は,緩徐な社会的進展に留まっていたが,近年になって急速な医学的進歩を遂げている.ひとつは,障害に関する治療の捉え方が国際障害分類の刊行によって大きく変化したことである.さらに,能力障害に対する治療に偏重していた時代から機能障害への新しい治療法の試みへと変革を遂げている.第2は,早期リハビリテーションが普及し,その開始時期が早くなり,廃用症候群の予防への関心が高まったことである.第3に,機能予後を推定することによって効率的に治療を行い,治療期間を短縮することが重視され,緻密かつ,妥当性・再現性の高い機能評価を行うことが義務づけられてきた.機能評価はデータベース化され,統計学的に解析されるようになった.疾患別では,脳卒中では治療的電気刺激やCI療法,経頭蓋的磁気刺激,直流刺激,吊り上げ式トレッドミル訓練,ロボット型歩行訓練機,インテリジェント短下肢装具などの新しい治療法が試みられている.脊髄損傷では,機能的電気刺激やPrime Walk内側股継手が取り入れられた.切断者には,インテリジェント膝継手やC-leg,シリコン製の内ソケットの利用が増えている.脳性麻痺では,選択的脊髄後根神経切断術やボツリヌス毒素による神経ブロック,座位保持椅子・座位保持装置の使用が普及し,GMFやSMTCPなどの評価法が取り入れられるようになった.記憶障害や注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などの高次脳障害に対する評価と学習や,摂食・嚥下障害の検査と機能訓練,心臓・呼吸器・腎尿路・消化器などの内部臓器に併発する機能障害のリハビリテーションも広く普及されつつある.
著者
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