対話型進化計算を用いたインテリアデザインにおける問題解決行為の代替案評価過程の研究

概要

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本論は、筆者らが構築した対話型インテリアデザインシステムを用いて8名の被験者がインテリアデザインのシミュレーションを行い、その過程を分析することにより、擬似的な設計における問題解決行為を明らかにした。現実の設計をそのまま対象とするのではなく、簡略化され、専門的な知識や経験を必要としない擬似的な設計問題を用意することにより、被験者がより良い画像を選択する行為を通して、問題解決行為の分析を行う方法を用いた。構築した対話型インテリアデザインシステム(IGA)は、人間が計算機の提示する代替案の集合に点数を付けることによって望ましい代替案を効率的に探索するものである(注W.Mitchell)。本論のIGAでは、問題空間を、インテリアを決定する壁や天井や床等の色やテクスチャーなどのパラメータの組み合わせで定義することにより、設計主体の問題解決行為はこの限定された探索範囲の中でのみ行われるように制御されている。本論ではこの限定された問題空間の中で行われる、計算機の進化計算プログラムと描画演算プログラムによる代替案の提示と、人間の個人的美的感覚による代替案の評価の一連の繰り返しをもって、擬似的な設計プロセスと見倣している。より簡略化された限定的な問題空間を用意し、その内で代替案の生成、評価を繰り返す擬似的な設計行為のモデルを構築することにより、問題解決行為の計量的な分析を行った。8人の被験者はそれぞれ自らの異なる方法で選択を進めたが、それらの間には、いくつかの点において類似性が見られた。概して、望ましくない代替案を排除することの方が、望ましい代替案を選ぶことよりも速く、確実であることが分かった。ほとんどの被験者は最初に排除を行い、その後に選択を行った。また、提示された代替案の中で、最終的に最も望ましいものとして選択された案は、比較的初期のうちに選択されていることが明らかになった。これらの現象は、デザインの過程において、はじめに比較的簡単な決定を行い、その後により困難な決定を行う傾向があることを示していると考えられる。このような行為により、複雑な問題をより簡単な問題に徐々に分けて、解決することができるためである。さらに、複数の代替案が提示されている状態において、被験者は、ある代替案を評価した後、次に、近傍に提示されている、容易に見渡せる範囲の代替案を評価する傾向が見られた。これは、デザインの過程において、必ずしも全ての代替案を比較して同時に評価しているわけではないことを示している。この方法によると、必ずしも網羅的で正確な相対評価が行われるとは限らないが、デザインの過程においてはこのような便宜的な方法が採られていることが分かった。
2008-07-30

対話型進化計算を用いたインテリアデザインにおける問題解決行為の代替案評価過程の研究

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