金属イオン吸着・回収に向けた細胞表層デザインと吸着分子の創製(<特集>コンビバイオとナノバイオのコラボによる新しい世界の開拓-バイオテクノロジーの未来のかたち-)

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金属は,高度経済成長期に引き起こされた有害重金属による環境汚染から,近年大きく注目されている希少資源レアメタルなど,我々の健康・経済あるいは国家間外交にまで関わってきている非常に重要な物質である.レアメタルはさまざまなハイテク製品に必要不可欠な素材であり,レアメタルの安定供給は科学技術立国である日本にとって死活問題とも言える.しかし,近年レアメタルの国際価格が高騰しているとともに,レアメタルは政情不安定な国への偏在性が高く,価格は世界情勢に大きく影響されるなど,その供給構造はきわめて脆弱である.また,これまで国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属の量を資源(都市鉱山)として算定すると,日本は世界有数の資源国に匹敵するとも言われている.したがって,わが国としてはレアメタルを自然界から効率よく集める技術や,廃棄された製品,排水中などから効率よく回収する技術を確立することが非常に重要な課題である.また,重金属による環境汚染を浄化するためのさまざまな方法が施行されており,物理化学的な方法と生物のもつ機能を利用して浄化を行うバイオレメディエーションの2つに大別される.中でも微生物を吸着剤として用いるバイオアドソープションは,水圏中の重金属を吸着除去することによって環境浄化に有用である.特に,常温常圧下での回収が可能であり,目的金属の含有率が低い溶液中からも回収が可能であるということから,高含有率を想定した物理化学的手法を補う方法として期待されている.これまで,バイオアドソープションはこのような有害重金属の吸着・除去を目的として開発されてきたが,これらの重金属も見方を変えれば,環境中に捨てれば汚染であるが集めれば逆に資源となり有効利用できるのである.すなわち,バイオアドソープションはレアメタルのような重要な金属資源の吸着・回収においても効果的な方法となり得るため,筆者らは金属イオン吸着・回収に向けた細胞表層デザインを行い,資源リサイクル酵母の分子育種を試みた.本稿では,筆者らが創製してきた資源リサイクル酵母と,特異的吸着のための分子改変,さらにはnon-GM細胞の利用に向けた新しい戦略について紹介する.
2008-06-25

金属イオン吸着・回収に向けた細胞表層デザインと吸着分子の創製(<特集>コンビバイオとナノバイオのコラボによる新しい世界の開拓-バイオテクノロジーの未来のかたち-)

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