商業伐採後のフィリピン山村の変容 : ヌエバ・エシハ州ガバルドン町の事例(1996年秋季大会自由論題論文)
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概要
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フィリピンにおけるフタバガキ林での採取林業は,東南アジアでは最も早い時期から始まり,現在では資源の枯渇とともに終息に向かっている。商業伐採が終了した後のフィリピンの山村社会を考察することは,将来において天然林採取林業が終了するであろう東南アジア他地域のあり方を展望していく上でも参考になるものと思われる。本研究では,ルソン島の一山村においてライフ・ヒストリーの聞き取りを行なうことにより,地域の生業構造と林野利用の変容を明らかにした。調査地であるヌエバ・エシハ州ガバルドン町住民の主な生業は,,<伐採労働→ラタン採集→傾斜地でのサトイモ栽培>と変容してきた。ラタンは過剰に収穫され資源の枯渇が著しく,現在では裏山を開墾してサトイモを栽培する人々が急増している。フィリピンでは商業伐採が終了すると林野は国家に返還されるが,実質的には管理者不在のオープン・アクセス資源となってきた。地域の内部に,資源管理を行なうための実行組織をつくることが必要とされている。
- 林業経済学会の論文
- 1997-03-01
著者
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- 石弘之編, 『環境学の技法』総合的アプローチによる環境研究の試み, 東京大学出版会, 2002年4月, 284頁, 3360円
- 出村克彦・但野利秋編著, 『中国山岳地帯の森林環境と伝統社会』, 北海道大学出版会, 2006年3月, 490頁, 10,000円+税, ISBN:4-8329-8141-2
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