CP児の発語時における語音の不安定傾向に関する分析的研究
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概要
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1.本研究は発語明瞭度50%以上および知的能力に著しい障害を示さないCP児85人(年令6才〜19才)を対象に、68語音からなる検査語音の発語時における不安定傾向について分析しようとした。2.検査方法としては、68語音からなる検査カードを1語1語提示し、発音させ、それを録音し、それを3名の検査者(一定)によって再生、分析していった。分析には、3名の聴取条件をそろえるために集団補聴言語訓練器(GH25型、 Rion)を用いておこなった。3. 主な分析結果(1) 語音には、その種類により発語時に有意な難易傾向があり、難発語音(平均発現頻度以上の不安定頻度を示した語音)としては、語音〔ぞ〕〔ざ〕〔ぜ〕〔ず〕〔ら〕〔ろ〕〔り〕〔る〕〔れ〕〔つ〕〔そ〕〔せ〕〔す〕〔し〕〔で〕〔さ〕〔だ〕〔ひ」〔ど〕〔ぎ〕〔ぐ〕〔び〕〔み〕があげられた。(2)検査語音の動揺傾向(置換される語音の種類)をみると、語音〔さ〕〔す〕〔せ〕〔つ〕〔ら〕〔り〕〔る〕〔ろ〕〔ざ〕〔ず〕〔ぞ〕〔ぴ〕などにおいて大きな動揺がみられ語音〔あ〕〔い〕〔う〕〔え〕〔き〕〔く〕〔こ〕〔に〕〔ね〕〔は〕〔ひ〕〔へ〕〔ほ〕〔め〕〔や〕〔ゆ〕〔よ〕〔ん〕〔ご〕〔ぱ〕においては比較的少ない動揺を示した。(3)多発現頻度(平均値以上)を示した置換語音の発現をみると、それらは〔ざ〕行、〔ら〕行、〔だ〕行、〔だ〕行、〔さ〕行等に特に集中する傾向を示した。(4)聴取不可能な発言および検査語音以外の語音への置換傾向の分析から、本研究対象の範疇においてはCP児といえども著しいみだれはみられず、また行間の有意差も存在しなかった。(5)清音の置換傾向は清音に多く、濁音のそれは清音と濁音の両群に多く発現する傾向を示した。このことは濁音の構音の困難さを示しているともいえる。(6)難発性、動揺性、不安定頻度の多発現傾向等、語音の不安定傾向を総括してみると、それらの語音の多くは〔ざ〕〔ら〕〔さ〕〔た〕〔だ〕の各行に集中していた。(7)語音産出の2条件、構音点と呼気の使い方、によって不安定語音を分割してみると、前者においては歯音歯茎音に多くの発現を、また後者においては弾音に極めて多くの発現をみた。(8)年令別語音の発達段階と難発語音の発現傾向を対比してみると極めて高い相関のあることが見出された。(9)S語音←R語音の発現傾向をみると一般にみられる発音異常の置換傾向に極めて一致した結果を得た。
- 1970-06-01
著者
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