転換畑における飼料作物の生産力
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概要
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イ)飼料作物の水田転換畑導入の基礎となる転換後の土壌の理学的変化と,飼料作物の生産力の消長との関係を知るため,1961〜1963に新潟農試圃場で10数種の夏型飼料作物を供試して調べた。ロ)隣接する同一土性土質の普通畑と対照して全く栽培法を同じくして生育と収量および生産力に関係ある若干の土壌の理学性,地下水位等を調べた。ハ)転換畑における飼料作物の生産力は,普通畑に対する収量比で表わした。全般に,転換1年目はこの値が低く,2年目は高く,3年目は低かった。この原因は土壌の理学的変化によるよりも,むしろ生育期間中の降水量の多少によるものである。すなわち,4〜10月の降水量は1961年と1963年は多く,1962年はきわめて少なかった。転換畑は普通畑よりも地下水位がつねに30〜40cm高く,-20cm以下の土層では空気孔隙が極めて小さく,普通畑の40%にすぎない。したがって降雨少なく,乾燥する年次は高い生産力を示すと考えられる。ニ)ビート,ばれいしょ,かんしょ等の根菜類は例外で,転換年数を経過するにしたがって生産力が向上し,土壌の理学的変化に影響されることが大きい。ホ)一般の水田では高い地下水位による水分過多はさけがたく,とくに重粘水田では下層土の畑土壌化は短期間では行なわれがたいので,積極的に排水をはかる方途を講じ,できるだけ圃場を乾燥させることが飼料作物の生産力を高める基盤である。
- 日本草地学会の論文
- 1964-12-30
著者
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