19世紀末イギリス公立基礎学校における肢体不自由児 : 在籍率とそのとらえられ方
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Warner,F.による2回の調査での公立基礎学校における肢体不自由児の出現率はおよそ0.3%程度であった。この出現率は救貧法学校等に比較すると小さい値であったが、その理由は次のように示された。すなわち、(1)一般に授業料を納付することが容易ではなかった上、1870年代後半の不況状態でその傾向が一層強くなったことから学務委員会の保護者への対応が厳しくなるという状況に加え、肢体不自由児の場合には、(2)学務委員会が通学手段確保のための費用支出権限を持たなかったこと、及び(3)保護者の教育に対する認識の低さが要因となった。また、公立基礎学校においては肢体不自由児はその肢体不自由という一次的障害ではなく二次的に発生した学習上の遅れがいわゆる「出来高払い制」を背景として問題とされていた。肢体不自由児の在籍は積極的根拠に基づいているというよりも学習面での問題を持たない児童が結果的に在籍しているという消極的なものであることが明らかとなった。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1994-11-30
著者
関連論文
- イギリス1993年教育法の特別な教育的ニーズを持つ子どもに関する規定
- 19世紀末イギリス公立基礎学校における肢体不自由児 : 在籍率とそのとらえられ方
- イギリスにおける特別な教育的ニーズ概念の教育制度への位置づけに関する研究(1) : 1981年教育法案審議の分析
- 肢体不自由養護学校高等部における作業学習の位置づけに関する予備的研究 : 教育課程上の設定の状況と実践例の検討