自閉症児の言語行動の獲得 : いわゆる御用学習をとおして
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概要
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音声言語の模倣能力がある自閉症児に、指導者の指示で提供者のもとまで行き、「〜下さい」と要求し、受け取った物を指導者まで届ける御用学習訓練を行った。最初に、日常場面での自発的要求訓練を行った。この訓練では、指導者の指示で提供者のもとに行き要求する行動連鎖を自発的行動になるよう配慮し、本児が直接要求した訓練者とは別の訓練者のもとに行かせ、「〜下さい」と要求させた。また、「〜下さい」という言語反応をマンドとして機能化させるため、要求した物とは違う物を与え、「違います。〜下さい」という言語行動を訓練した。結果は次の通りであった。(1)自発的要求訓練により、指導者の指示に従い提供者に言語要求し、要求物を受け取り指導者に届けることができた。(2)自発的要求訓練では、要求した物と違う物を手渡されると、「違います。〜下さい」という言語行動を獲得できた。しかし、その後の(3)御用学習訓練ベースラインの不一致条件では、「違います。〜下さい」が全く言えなかったが、御用学習訓練により、不一致条件でも「違います。〜下さい」と言って要求することができるようになった。このことは、御用学習訓練での、「〜下さい」という言語行動は、指導者の要求を提供者に伝える情報伝達行為と考えられ、自発的要求に基づくマンドとは異質の機能を持つことを示唆している。(4)訓練者、要求物、訓練場所を変えた般化訓練でも、指示された物を要求する言語行動と、指示された物とは異なる物を手渡されたとき「違います。〜下さい」という言語行動が認められた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1993-06-30
著者
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