ヴィゴツキーの児童学構想 : 困難児問題を中心に
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概要
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本稿は障害児の発達の問題を子どもについての総合科学、すなわち児童学によって解決しようと意図したヴィゴツキーの構想を検討した。1920年代半ばのソビエトにおける教育困難児問題の発生と児童学の出現という歴史的過程の中でヴィゴツキーは障害児の発達の問題を明らかにしようとした。ヴィゴツキーは児童学を統一のある全一体としての子どもについての科学であると捉えている。ヴィゴツキーは障害児、教育困難児、神経症、精神病児を含む「困難児」というカテゴリーを設定し、「困難児の児童学」を確立しようとした。ヴィゴツキーが「困難児の児童学」の分野で構想したものは独自の科学としての方法論を築きあげることであった。彼は児童学的課題としての子どもの発達における内的法則性の解明を意図した発達診断の研究と児童学的臨床の確立により「困難児の児童学」が科学として成立すると考えた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1993-01-30
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