精神遅滞児の読み行動変容における見本合わせ法の検討
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概要
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精神遅滞児に対して、見本合わせ法によって読み行動を獲得・保持させる場合におけるVp(絵)-Vw(文字)マッチング、A(実験者が言った単語)-Vw(文字)マッチング両者の効果について検討した。8名の精神遅滞児を、ひらがなと漢字の読み行動変容の対象として分類した。刺激1〜5をVp-Vwマッチングで訓練し、刺激6〜10をA-Vwマッチングで訓練した。実験デザインは、ABACAである。デザインB、Cにおいては、正反応に対して○印とチャイム音、誤反応に対して×印とブザー音を提示した。マッチング訓練終了後2週間から10週間の間にフォローアップ期間を設けた。ベースライン1においては、全ての被験者が文字を読むことができなかった。しかし、各マッチング訓練を受けた後のベースラインにおいては、全ての被験者におけるoral readingの%correctが有意に上昇した。また、フォローアップを通してもほぼ保持された。また、Vp-Vwマッチングの獲得がA-Vwマッチングに転移し、A-Vwの獲得がVp-Vwに転移した。これら転移パーフォーマンス間には、マッチング課題による差はなかった。oral readingの獲得に及ぼす効果にも明確な差がなかった。ただし、被験者によっては、初期の獲得に因難を示すマッチング課題において、oral readingの獲得数が少ない傾向を示すことが認められた。本研究は、精神遅滞児における読み行動の獲得と保持に見本合わせ法が有効であることを示した。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1985-03-30
著者
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