特異な経過をたどった自閉的精神遅滞の1症例について
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概要
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脳器質的背景の明僚な成人自閉症の経過を長期継続的に追跡して、その症状・経過の特異性を明らかにし、これらを脳病理、榊病理の両面より考察した。特記すべき事項を列記すると次のとおりである。生後7ヵ月に発症した臨床的てんかんの発作は服薬により6歳以後抑圧されており、一貫して脳波上上連続性・発作性異状が存在し、CT上左側頭深部に高吸収巣を認める。この左側頭深部の病巣とてんかんとの関連は不詳であり、発作型、脳波所見などより本例を側頭葉てんかんとするには理由が乏しい。本例の折れ線型経過及び思春期に発生した特異な慢性分裂病様過程と脳病理所見などとの関連について考察し、多動性、感情易変性・発作的暴力行為などをシュトラウス症候群と自閉症候群との連繍上に定位した。また本症の最強度の固執性、反響語・遅延反響語の欠如、遅延性攻撃行動などの特異性を指摘し、精神遅滞度の推移についても言及した。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1983-12-29
著者
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