健常児および精神遅滞児の平仮名、漢字、図形処理における大脳半球機能の発達
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概要
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健常児および精神遅滞児を対象にして、平仮名、漢字ならびに図形処理における視野差と大脳半球機能差との関係を発達的に検討した結果、以下の5点が明らかとなった。1.刺激提示時間は健常児群および精神遅滞児群のいずれにおいても提示刺激の種類よりも精神年齢によって大きく影響を受け、MA7歳児が有意に長かった。2.本実験で得られた視野差はscanning habitによって説明することは難かしく、大脳半球機能差を反映していると考えられた。3.健常児群において平仮名課題では右視野優位が得られたが、漢字課題および図形課題においては視野差が認められなかった。したがって成人においてこれまでに見い出されてきた漢字・平仮名の大脳半球における処理過程の違いは、発達的にみるとMA9歳頃までには成立しているものと考えられた。4.精神遅滞児群においては平仮名課題で視野差が認められず、漢字課題および図形課題では左視野優位の傾向が認められた。その理由として精神遅滞児は半球機能の側性化が健常児とは異なることが考えられたが、精神遅滞児は形態的ストラテジーに依存して提示刺激を処理したという処理ストラテジーの違いによる解釈も考えられた。またこうした左視野優位の傾向はMA9歳児よりもMA7歳児の方が大きかった。5.健常児群の平仮名課題では性差がみられ男児では右視野優位が得られたが、女児ではこの傾向が弱かった。このことから女児は男児に比べて半球機能の側性化が小さいと考えられたが、平仮名に対する男女児間の処理水準の差を反映した可能性もある。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1983-12-29
著者
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