遅延弁別課題による自閉症児の記憶過程の検討
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概要
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自閉症児の認知過程における特性を明らかにするために、本研究では自閉症児における短期記憶能力を視覚からのインプット刺激について検討した。実験は遅延弁別反応を継時提示、10秒遅延て30秒遅延の3条件で行なった。刺激は、処理コードに視覚手がかりが有効なものと、聴覚手がかりが有効なものの2組を使用して比較検討した。第1実験では対照群として一般3歳児が、第2実験では自閉症児群とMAマッチングした精神遅滞児群、MA5歳代の普通児群が設定された。その結果、自閉症児は刺激が視覚的にインプットされた場合でも、普通児と同様にコードとしては聴覚的なコードを使用可能であることが明らかにされた。一方て視覚的なコードに関しては、普通児に比べて把持が劣る傾向がみられたが、これは精神遅滞児と類似した傾向であった。従ってて自閉症児の示す特有な認知障害は、さらに長期記憶も含めたレベルの障害に起因するものと考えられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1983-09-01
著者
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