言語的表出手段を持たないろう幼児の表出行動について
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概要
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ろう幼児の伝達手段の分化過程は、母の働きかけの性格と関係をもつものと思われるが、本研究における、言語的伝達手段を持たないろう幼児の母子相互交渉の、行動カテゴリー法および逐次記録による分析では、母の誘導・触発的行動において、直接行動的な手段と、言語的、間接的な手段とのバランスが取れた働きかけをする母によるろう児には、伝達手段の間接化がみられたのに対し、直接行動的手段を多用する母によるろう児には、予期反応や直接行動と区別のつかない伝達行動が多かった。コミュニケーション数も、前者の場合は多く、通時的には増加の傾向にあった。また、本研究によるデータから、ろう児は、言語的手段の習得以前には、指さし、発声、身振りなど、言語以前的な規約的手段が増加するが、口話、手話など言語的手段が習得されるにつれて、指さし、発声、身振りは一定の水準にまで減少すること、発声には2つの水準があり、一方は韻律形など一貫した形態を伴う発声、他方は快不快などの動機を反映した発声であるが、減少する発声は前者ではないかという仮説を提起した。
- 1980-12-30
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