回転性眼振検査による精神遅滞児の前庭機能に関する一考察
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概要
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1.本研究では、姿勢を維持したり、円滑な運動を遂行する上で非常に重要な役割を占めている前庭機能について、性差、年令差を明らかにするとともに、精神遅滞児の前庭機能の特性について検討することを目的とした。2.幼児19名、小1児41名、小3児39名、精神遅滞児I群27名、II群21名、を被験者として抽出し回転性眼振検査を実施した。3.その結果は以下の通りである。(1)眼振に性差はなかった。(2)幼児、小1児よりも小3児の眼振が長かった。(3)健常児と比較すると精神遅滞児は眼振の短かい者が多かった。(4)精神遅滞児のHyporeactive groupは立位バランステストで開眼、閉眼共に有意に得点が低かった。4.以上のことから次のことが明らかになった。(1)回転性眼振検査を指標として見ると前庭機能の発達に性差は認められない。(2)7〜9才の間に前庭機能の発達的変化が認められる。(3)精神遅滞児の前庭機能は健常児よりも未成熟な状態にあると思われる。また前庭機能の発達は健常児と同様に、CAの変化に関係しているのではないかということが示唆された。(4)前庭機能の未成熟さが精神遅滞児のバランスのくずれに関連しているという仮説が伺見された。
- 1979-06-15
著者
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